LTVから広告費を決定すること 16.06.28  (更新: 

LTVから広告費を決定すること

新規客一人獲得するのにどれくらいのコスト(CPA)がかかる?

新規の顧客一人獲得するのにどれくらいのコストがかかっているかを把握することはマーケティングでは重要です。
例えば、1,000部の広告チラシを制作費や印刷代、配布費用などの全てのコストが30万円だったとして、配布後10件の新規受注がとれたとするると、このチラシの顧客一人あたりの獲得コストは3万円ということになります。

WEBの場合、リスティング広告のランディングページを既にあるホームページ内とするのであれば制作費などのコストはかからず、運用も自分で行った場合はコストは広告費のみになります。
リスティング広告費4万円かけて10人の新規受注が取れたのであればリスティング広告からの顧客一人あたりの獲得コストは4千円ということになります。

この新規顧客一人あたりの獲得コスト、つまり「新規顧客獲得単価」を「CPA」(Cost Per Acquisition)といいます。
(新規客、既存客を問わない注文獲得単価は「CPO」、(Cost Per Order)といいます。)

リスティング広告で1クリック1,000円は高い?

リスティング広告のクリック単価をCPC(Cost Per Click)と言い、表示された広告がユーザーにクリックされた1クリックあたりの費用です。
費用は通常、入札制ですので競合性の高い人気のワード「ビッグワード」になるほど費用も高くなり、1クリック1,000円とか2,000円とかすることもあります。
最高5,000円という超ビッグワード(「浮気調査」というワードだったかな?)も聞いたことがあります。
リスティング広告費が高騰するワードではそれでも十分利益が出せる客単価が高い高額商品やリピート性のある商品ということになります。
(1クリック、400円でランディングページのCVRが20%ならCPAは2,000円ということになります。)

5,000円の商品を売るのに1人あたりの広告費2,000円とか3,000円かかっていたら、利益が残るのか何となく不安になってきますが、広告費以外の諸経費などから利益率を考慮し「上限CPA」を決めれば、上限CPCも明確になります。
では、5,000円の商品を売る場合、上限CPAは5,000円以下に設定しないと利益が出ないのでしょうか?

損益分岐点(BEP)はどうなる?

広告費を決定する時、気になるのが損益分岐点です。
損益分岐点とは固定費と変動費を足した「総費用」線と「売上高」線が交わる点のことを言います。つまり、黒字と赤字の境目、利益が0になる時の売上高です。
最低でも総費用を上回る売上、(利益が固定費を上回る)販売数を確保できれば赤字にならず、売り上げ続けることでいずれ広告費などの初期投資を損益分岐点で回収できることになります。
普通はどうしても損益分岐点を低く見てできるだけ早く投資回収したいと考えたくなると思います。
しかし、新規客のみの売上で赤字をできるだけ早く回収、損益分岐点売上高を達成できるように計算すると出せる広告費は限られ、売上速度も遅くなります。
そこでリピートを考慮して顧客一人当たりの生涯価値「LTV」を算出することで、新規獲得時は赤字でもリピートで広告費などの初期投資回収できるのであれば、広告費を上げて販売速度を加速させることができます。
この場合、損益分岐点の達成に時間がかかってでも、広告を最大限利用し、後の利益ができるだけ大きくなるように投資できます。
(LTVの期間を長く取れば取るほどリターンは上がる可能性はありますが、初期投資を回収するまで時間がかかるので企業の体力によって期間を決める必要があります。)
実はリピート性のある商品やサービスではLTVを上げることで、商品の販売価格以上の広告費をかけても十分利益が出せるはずです。5,000円の商品を売る場合、上限CPAは5,000円以下ではなく、LTV次第で5,000円以上に設定できます。
つまり、LTVが明確になれば広告費を最大限投下でき、効果的にハイリターンできます。
新規客は赤字覚悟でリピートで利益拡大を目指しましょう。

LTVとは

LTVとは「Life Time Value」の略で、日本語で「顧客生涯価値」と言います。
単一の取引ではなく、ある一人の顧客から生涯どれだけ利益が得られるかを算出したもので、顧客が他社に移ったり(ブランドスイッチ)、解約されるまでの期間にもたらされる利益のことを言います。本来の人の生涯(死ぬまで)のことではありません。

一般的には商品単価が高く、リピート性のある商品を扱う企業ほど収益性が高いとされ、生涯を通じて企業に大きな利益をもたらす(LTVが大きい)優良顧客を獲得しやすくなります。
新規客の獲得コストは年々増加傾向にあり、既存客の維持コストの5倍以上のコストがかかる(1:5の法則)と言われ、既存客へのフォローやアップセル、クロスセルを強化する方が収益性が高くなることからマーケティングの世界では利益拡大のためにはLTVが重要視されます。
また、20%の優良顧客が収益の80%を担っているとするパレートの法則も有名ですね。

既存客への施策でLTVアップを図ることは大変重要ですが、離脱(顧客離れ)を100%防ぐことはできませんので、収益を安定させるためにはどうしても継続的な新規客の獲得は必要になります。
新規客の獲得コスト(広告費) はLTVを算出して決定しましょう。

LTVの算出方法

LTVの算出方法は下の図のようになります。

ltv.gif

例えば、取引期間6ヶ月で新規客数1,000人、新規客獲得コスト400万円とすると、

ltv.gif

となり、リピートされるとLTVは上がっていきます。
リピートにアップセル、クロスセルなども組み合わせることでLTVを効率的に上げていくことができます。

上記のように厳密なLTVを出さなくても次のようなシンプルな式でも十分活用できます。

LTV = 1回あたりの平均購入収益 x 平均購入回数

でも十分活用できます。

常に数字の把握、LTVの把握が重要

お問合せ率、資料請求率、コンバージョン率、転換率、リピート率などを数値化し、問題個所をすぐに特定できるようにしておくことが重要です。
また、数値化は従業員のモチベーションを上げる要因にもなります。
ただし、顧客データが増えてくると数値の管理、顧客データの管理が大変になってきますので、顧客管理システム「CRM」の導入やLTVが分析できるツール、マーケティングオートメーション(MA)などの導入をすることが効果的なリピート対策やマーケティングには不可欠です。
顧客数が多く、リテンションが十分に行われずに機会損失やLTVアップの施策が行われていない企業の方はぜひ、CRMや各分析ツールの導入を検討してください。

具体的にどんなツールを導入してどのように対策をしていけばいいのか分からない企業様はぜひ、WEBaseにご相談ください。

(※本ページはプロモーションが含まれています。)

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