売りたいなら、売ろうとしないこと。 17.10.03  (更新: 

売りたいなら、売ろうとしないこと。

「売ろうとすればするほど売れない」・・・見込み客の成約率(コンバージョン率)を上げるために

あなたの商品やサービスを既に欲しいと思っている「今すぐ客」であれば、何もしなくても目の前に商品を置いてあげればすぐに売れます。

しかし、実際はそんな「今すぐ客」は少なく、競合他社の商品と比較して悩んでいたり、あなたの商品が必要ということすら気がついていない見込み客の方が圧倒的に多いのです。

そんな見込客に商品やサービスを売る場合、「弊社の商品はこんなメリットがあるので買ってください!」と単純な直接的営業をかけても売れる確率はとても低いのです。

それは、お客様は商品を薦められてセールスされている時、「買わないという選択」を阻害されたと感じ、自由を奪われた際に逃れようとする心理的リアクタンスが生じるためです。

それは既にあなたの商品を購入している既存客も同じことで、フォロー電話やフォローメールで毎回セールスされてしまうと、いずれ電話にも出ない、メールも開封しないようになってしまいます。

売りたければしばらく「売ることを忘れて」顧客との関係づくりに専念することも必要なのです。

営業の基本はナーチャリング

顧客に商品を売るには、まずは信頼関係を築くことが大切です。

顧客にアプローチした時に「セールスされている」と感じさせるのではなく、「お伺い」と感じさせることが重要です。

ある程度、信頼関係が構築できて顧客を教育できればあなたのお願い(この場合セールス)も聞いてくれる可能性が格段に高まります。

この時間をかけて信頼関係を構築し、顧客を教育することを「ナーチャリング」といいます。

これは心理的に接触回数が増える程、好意を抱くという「ザイオンス効果」も影響しています。

また、見込み客のリストのことをリードといいますが、このリードに対して教育を行い、信頼関係を構築して不信感や警戒心といった心理的な障壁を取り去ることで商品を売りやすくします。

これを「リードナーチャリング」といい、不動産や自動車といった高額商品や保険などのLTVの高い商品には欠かせないマーケティング手法です。

自宅にセールスではなく度々、世間話を数分しては帰っていくあるカーディーラーの営業マンがいましたが、数年後にその営業マンに連絡して新車を購入したことがありました。

焦らず、できるだけ多くの小さな芽に水をやって、数か月後、数年後に確実に多くの花を咲かせることを待つことが賢明なのです。

あなたがもし営業マンでマーケティングの分からない上司に営業成績を急かされる場合はナーチャリングの事例を交えながら計画的に売り上げを伸ばしていくことを教えてあげてください。

選択的デ・マーケティングという戦略

少し話しが逸れますが、売らない戦略で中長期的な売り上げアップのためにここでデ・マーケティングの話もしておきます。

デ・マーケティングとはアメリカの経営学者「フィリップ・コトラー」が提唱した「特定の顧客層の需要を抑制する」マーケティングで通常のマーケティング「売上や利益拡大を目的とした活動」とは相反するものです。

需要が供給よりも多くなりすぎた状態ではマーケティングなんて必要なく、商品は何もしなくても勝手に売れていきます。

しかし、売れすぎて在庫がなくなり一時的にでも売ることができないようになれば、顧客の信頼を失いブランドイメージが低下します。こうなれば短期的な売り上げを優先した結果、中長期的な売り上げが犠牲になってしまうという事になりかねません。

このような事が起こらないように、言わば「デ・マーケティング」の役割は「需給バランス」を保つことで、許容量以上に売れすぎないように需要を操作するのです。

デ・マーケティングには大きく下記の3つに分類されます。

  • 一般的デ・マーケティング
    企業が需要の全体量を下げたい場合に行われます。
  • 選択的デ・マーケティング
    特定の市場の需要を抑制したい場合に行われます。
  • 表面的デ・マーケティング
    供給量を低く見せかけて、需要を増大させる手法です。

「表面的デ・マーケティング」はある企業がクリスマス商戦にある子供のおもちゃのCMをクリスマス前にたくさん流し、クリスマスまでに供給が追い付かないように故意に供給量を抑えることでクリスマス後の売上げを伸ばす行為で問題になったことがありました。

これはCMを見た子どもにクリスマスにこのおもちゃをプレゼントする約束をした親が実際の供給量よりも多くなるために、そのおもちゃをクリスマスまでに買えなかった親がクリスマスは別のおもちゃをプレゼントし、後にクリスマスにプレゼントする予定だったそのおもちゃも買わせることができるための表面的デ・マーケティングだったからです。

このような行為(内情)が世間に公になってしまうとブランドイメージとして大きなダメージになりますので、表面的デ・マーケティングは倫理的にも行うべきではありません。

このように「表面的デ・マーケティング」は行うべきではありませんが、中長期的に売り上げを伸ばすために「一般的デ・マーケティング」や「選択的デ・マーケティング」は行う必要が出てきます。

まとめ

このように、顧客心理は「売りつけられる」と感じた場合は買いたくなくなります。

反対に「売ってもらえない」、「手に入らない」と感じた場合には買いたいと感じるのです。

顧客に売りたいのであれば、「売りたい」という感情を顧客に覚られないことが重要です。

また、中長期的な売り上げアップのためには時にはデ・マーケティングも必要です。

(※本ページはプロモーションが含まれています。)

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