AIを仕事で使いこなす方法|ChatGPTを「質問相手」で終わらせない7つの実践法 26.08.19  (更新: 

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AIを仕事で使いこなすつの実践法(答えをもらう人から、仕事を設計する人へ)

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ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、文章作成、情報収集、画像制作、プログラミング、データ分析など、これまで専門知識や長年の経験が必要だった作業も、短時間で形にできるようになりました。

しかし、誰でもAIを使えるようになるほど、単に質問をして回答を得るだけでは、仕事上の大きな差になりにくくなります。AIを仕事で使いこなすとは、上手なプロンプトを書くことだけではありません。

私自身、SEO改善やアクセス解析、コンテンツ制作、商品データの処理などでAIを使うなかで、「誰でもAIを使えるようになったとき、どこで仕事の差がつくのか」と考えるようになりました。本記事は、この疑問についてAIとの対話を重ね、実際の業務経験と照らし合わせながら整理したものです。

そこで見えてきたのは、解くべき問題を決め、必要な情報をAIに渡し、ツールやプログラムと組み合わせ、出力内容を検証することの重要性です。さらに、どこまでをAIに任せ、どこからを人間が判断するのかという線引きも欠かせません。AIの賢い使い方とは、回答を出してもらう技術ではなく、AIを含めた仕事全体を設計する技術だといえます。

また、AIが一定水準以上の文章や画像、企画を大量に作れるようになるほど、人間の価値は「作れること」だけでなく、「何を作るか」「どれを選ぶか」「何を採用しないか」を判断する力へ移っていくと考えられます。

この記事では、ChatGPTなどのAIを「質問相手」で終わらせず、仕事の成果につなげるための7つの実践法を解説します。Webマーケティングにおける具体例や、AI時代に人間に求められるスキルについても紹介します。

ChatGPTの基本操作や、初心者向けの活用方法から確認したい方は、先に以下の記事をご覧ください。

ChatGPTの使い方|初心者向けの基本とビジネスで役立つ活用法 ChatGPTの使い方|初心者向けの基本とビジネスで役立つ活用法

AIを仕事で使いこなすとはどういうことか

AIを使って文章を作成したり、分からないことを質問したりするだけでも、業務時間の短縮にはつながります。しかし、AIを仕事で使うことと、AIを仕事で使いこなすことは、必ずしも同じではありません。

多くの機能を知っていることや、複雑なプロンプトを書けることだけが「AIを使いこなす」ということでもありません。大切なのは、目的の設定から情報収集、実行、検証までの流れにAIを組み込み、最終的な判断と責任を人間が持つことです。

AIを単なる質問相手や文章作成ツールとしてではなく、仕事を進める仕組みの一部として扱うことで、生成AIの活用範囲は大きく広がります。

AIに質問するだけでは差がつきにくくなっている

ChatGPTなどの生成AIを使えば、専門知識がなくても、一定水準の文章や画像、プログラムなどを短時間で作成できます。

  • メールや企画書の文章を作成する
  • 長い資料を要約する
  • 企画やキャッチコピーの案を出してもらう
  • HTMLやCSS、プログラムのコードを作成する
  • WebページのSEO改善案を考えてもらう

これらは十分に便利であり、AI活用の入り口としても重要です。ただし、同じような使い方は多くの人ができるようになっています。そのため、「AIに質問して回答を得られること」だけでは、仕事上の大きな差になりにくくなっています。

例えば、AIに「このページをSEO改善してください」と依頼すれば、タイトルの見直しや見出しの追加、関連キーワードの挿入など、一般的な改善案は提示してくれるでしょう。

しかし、実際のSEO改善では、最初に次のような点を切り分ける必要があります。

  • 検索順位が下がっているのか
  • 順位は変わらず、クリック率が下がっているのか
  • 検索需要そのものが減っているのか
  • 複数のページが同じキーワードで競合しているのか
  • SEOではなく、ページ閲覧後の遷移率や購入率に問題があるのか

どの問題に該当するかによって、必要なデータも改善方法も変わります。原因を切り分けないままAIに改善案を求めると、内容としては間違っていなくても、実際の課題には合っていない提案が出てくることがあります。

AIは、与えられた問題を解くことには長けていますが、現実の仕事では、そもそも何が問題なのかが明確になっていない場合も少なくありません。この問題設定を人間が行えるかどうかが、AIを仕事で使いこなすうえで大きな違いになります。

プロンプトの上手さより仕事の設計力が重要になる

AIの活用方法として、プロンプトの書き方が紹介されることは少なくありません。目的や条件を具体的に伝えることは重要ですが、プロンプトは仕事の一部分にすぎません。

実務でAIを活用する場合は、AIに指示を出す前と、回答を受け取った後まで含めて考える必要があります。

  • AIに依頼する前 達成したい目的と解決すべき問題を明確にし、判断に必要なデータや資料を集めます。
  • AIに依頼するとき 前提条件や制約、参考資料、求める出力形式を伝え、必要に応じて作業を複数の段階に分けます。
  • AIから回答を得た後 事実や元データと照らし合わせ、実際の業務に使える内容かを人間が確認します。
  • 施策を実行した後 結果を計測し、想定した成果が出ていなければ、仮説やAIへの指示を見直します。

つまり、プロンプトの工夫が「AIへの指示を改善すること」だとすれば、仕事の設計とは、AIを使う前後を含めた一連の流れを改善することです。

また、AIが作業を代行できるようになっても、専門知識がまったく不要になるわけではありません。自分で最初からすべてを作るための知識よりも、AIの回答に誤りがないか、事実と矛盾していないか、実務で採用してよいかを判断するための知識が重要になります。

AI時代に価値が高まるのは、AIより速く作業できる人だけではありません。AIに何を任せ、どの情報を与え、出力をどう評価するかを設計できる人です。

ここからは、AIを「質問相手」で終わらせず、仕事の成果につなげるための7つの実践法を具体的に解説します。

AIを仕事で使いこなす7つの実践法

AIを仕事で使いこなすために必要なのは、特別に長いプロンプトや、複雑な命令文を覚えることだけではありません。

重要なのは、問題を決め、必要な情報を集め、AIと人間の役割を分け、出力を検証し、結果を改善していくことです。

ここでは、ChatGPTなどの生成AIを「質問すると答えてくれるツール」から「仕事を進める仕組みの一部」へ変えるための7つの実践法を紹介します。

1.「何を解くべきか」を決める

AIに質問する前に、まず考えなければならないのが「何を解決したいのか」です。ここが曖昧なままでは、AIから詳しい回答を得られても、実際の成果につながらない可能性があります。

例えば、売上が下がっているECサイトについてAIに「売上を増やす方法を考えてください」と質問すれば、広告、SEO、SNS、キャンペーン、ページ改善など、さまざまな案が提示されるでしょう。

しかし、売上が下がった原因によって、取り組むべき施策は異なります。

  • サイトへのアクセス数が減っている
  • 商品ページへの遷移率が下がっている
  • カートへの追加率が下がっている
  • 購入直前の離脱が増えている
  • 商品の価格や在庫状況に問題がある
  • 検索需要や市場環境そのものが変化している

アクセス数が減っている場合と、アクセスは増えているのに購入されていない場合では、必要な対策はまったく違います。原因を確認せずに施策案だけを増やしても、効果の薄い作業に時間を使うことになりかねません。

問題を整理するときは、次の順番で考えると分かりやすくなります。

  • 達成したい状態を決める 売上、問い合わせ、作業時間、ミスの削減など、何を改善したいのかを明確にします。
  • 確認できている事実を整理する 数値や現場で起きていることと、推測していることを分けます。
  • 原因の候補を分解する 一つの原因に決めつけず、複数の可能性を挙げます。
  • 判断に必要な情報を決める どのデータや資料を確認すれば、原因を絞り込めるのかを考えます。

AIには、原因の候補を広げたり、問題を分解したりする作業も手伝ってもらえます。ただし、何を成果とするのか、どの問題を優先するのかは、事業や現場を理解している人間が決める必要があります。

AIに答えを求める前に、答えるべき問いを決めることが、AIを仕事で使いこなすための出発点です。

2.一発回答を求めず、調査のプロセスを設計する

ChatGPTを使うとき、最初の質問だけで完成した回答を得ようとすることがあります。しかし、複雑な仕事ほど、一度の質問ですべてを解決するのは難しくなります。

  • 一発回答を求める使い方 人間が質問する → AIが回答する → そのまま採用する
  • 調査プロセスを設計する使い方 人間が仮説を立てる → AIで調査・分析する → データを確認する → 仮説を修正する → AIで再分析する → 人間が判断する

最初から正解を出してもらうのではなく、AIとのやり取りを通じて、少しずつ問題を絞り込んでいきます。

例えば、次のような流れです。

  • 現時点で考えられる原因をAIと一緒に洗い出す
  • 原因を判断するために必要なデータを確認する
  • データをAIに渡し、傾向や矛盾を分析する
  • 不足している情報や別の可能性を挙げてもらう
  • 追加の資料や現場情報を集める
  • 仮説を修正し、実行する施策を絞り込む
  • 施策実行後の結果を測定し、次の改善へつなげる

この方法であれば、AIの最初の回答が不十分でも問題ありません。回答を完成品として受け取るのではなく、次に何を確認すべきかを考えるための材料として使えるからです。

AIを回答者として使うだけでなく、調査・分析・仮説修正を繰り返す相手として使うことで、実務に合った結論へ近づきやすくなります。

3.AIの回答を疑い、事実やデータで検証する

AIは、事実と異なる内容であっても、自然で説得力のある文章として出力することがあります。これは一般に「ハルシネーション」と呼ばれる問題です。

特に注意したいのは、明らかに不自然な回答ではなく、専門的で正しそうに見える回答です。文章が分かりやすく、理由まで詳しく説明されていると、内容を確認せずに採用してしまう可能性があります。

AIの回答を確認するときは、少なくとも次の点をチェックします。

  • 数字や固有名詞、制度、仕様などの根拠が確認できるか
  • 参照元の資料に実際に書かれている内容か
  • 事実とAIによる推測が混ざっていないか
  • 存在しない商品特長やサービス内容を作っていないか
  • 社内ルールやブランド方針と矛盾していないか
  • 生成されたコードに安全性や保守性の問題がないか
  • 法律、契約、会計など、専門家への確認が必要な内容ではないか

AIの出力は、次の3種類に分けて確認すると扱いやすくなります。

  • 事実 元データ、公的資料、公式情報などで確認します。
  • 推測・仮説 確定事項として扱わず、追加調査の対象にします。
  • 提案 実現可能性、費用、優先度、事業への影響を人間が判断します。

AIに確認を依頼しただけで検証が完了するわけではありません。重要な情報については、元データや公式情報など、AI以外の根拠に戻って確認する必要があります。

AI時代には、答えを作る専門知識だけでなく、AIが作った答えをレビューできる専門知識の価値が高まります。

4.AIに渡す情報と条件を設計する

同じChatGPTを使っても、どのような情報を与えるかによって回答の質は大きく変わります。

例えば、「SEOについて教えてください」と質問する場合と、過去12か月の検索データ、アクセス解析、商品情報、競合状況、過去に実施した施策を渡したうえで、「次に実施すべき改善を優先順位順に整理してください」と依頼する場合では、得られる回答が異なります。

AIが判断しやすいように、必要な背景情報や条件を整える考え方は、コンテキストエンジニアリングとも呼ばれます。

AIに渡す情報としては、次のようなものがあります。

  • 目的 何を改善し、どのような状態を目指すのか
  • 対象 誰に向けた商品、文章、施策なのか
  • 元データ アクセス解析、売上、顧客情報、商品データ、過去資料など
  • これまでの経緯 過去に試した施策、その結果、社内で決まった事項など
  • 制約条件 予算、期間、使用できるシステム、社内ルールなど
  • 禁止事項 使用してはいけない表現、変更できない仕様、推測してはいけない情報など
  • 出力形式 表、箇条書き、HTML、CSV、報告書など

ただし、資料を大量に渡せばよいわけではありません。関係のない情報が多すぎると、重要な条件が埋もれたり、回答の焦点がずれたりすることがあります。必要なタイミングで、必要な情報を、判断しやすい形で渡すことが重要です。

また、個人情報や取引先の機密情報、未公開情報を扱う場合は、社内規定や利用環境を確認し、そのままAIへ入力しないなどの配慮も必要です。

5.AI・プログラム・人間を適切に分業する

AIを使いこなすというと、すべての作業をAIに任せることだと思われるかもしれません。しかし、実務ではAIだけで処理するよりも、既存ツールやプログラム、人間を組み合わせた方が、正確で効率的な場合があります。

基本的には、次のように役割を分けて考えます。

  • プログラムに向いている作業 計算、並べ替え、形式変換、文字列置換、重複確認など、条件と結果が明確な処理
  • AIに向いている作業 文章の分類、要約、表現の調整、アイデア出しなど、一定の曖昧さを含む処理
  • 人間が担当する作業 目的や優先順位の決定、事実確認、社内調整、公開や実行の最終判断

例えば、数千件の商品データを修正する場合、決まった文字列の置換やHTML形式の変換まで、一件ずつAIに判断させる必要はありません。ルールが明確な処理はプログラムで行い、商品ごとの違いを踏まえた文章作成など、曖昧な判断が必要な部分だけをAIに任せた方が効率的です。

そのうえで、重要な商品や例外的なデータは人間が確認します。

「確定処理はプログラム」「曖昧な判断はAI」「最終判断は人間」と役割を分けることが、安定したAI活用につながります。

さらに、APIやデータベース、既存の業務ツールとAIをつなげれば、データ収集から分析、改善候補の抽出までを半自動化することも可能です。ただし、実行や公開の前に人間の承認を入れるなど、誤処理を防ぐ仕組みも必要です。

6.AIの仕事を評価する仕組みをつくる

AIを使って大量の文章やデータを処理するときは、生成する仕組みだけでなく、結果を検査する仕組みも必要です。

例えば、AIに1,000商品の説明文を作成させた場合、すべての文章が完成しただけでは、業務が完了したとはいえません。事実と異なる説明や禁止表現、商品ごとの矛盾などが含まれていないかを確認する必要があります。

検査項目としては、次のようなものが考えられます。

  • 商品名、価格、サイズ、素材などの仕様と矛盾していないか
  • 禁止表現や根拠のない断定表現が含まれていないか
  • 指定したHTML構造や出力形式になっているか
  • 必要な文字数やSEO上の要件を満たしているか
  • ブランドの表現ルールに合っているか
  • 他の商品とほぼ同じ説明文になっていないか
  • 入力データが欠けている商品を無理に補完していないか

文字数、HTML構造、禁止語句、データの一致など、条件が明確な項目はプログラムで検査できます。表現の自然さや内容の妥当性は、別のAIによる一次確認も可能ですが、重要度やリスクに応じて人間による確認も残します。

評価の仕組みは、次のような流れで設計します。

  • 出力前に合格条件と禁止事項を決める
  • プログラムやAIで自動検査する
  • エラーや例外を抽出する
  • 重要な内容を人間が確認する
  • 発生した問題を、次回の指示や処理ルールへ反映する

AIに仕事をさせる技術と同じくらい、AIの仕事を採点する技術が重要です。処理件数が増えるほど、評価と修正の仕組みが成果物の品質を左右します。

7.AIに任せない部分を判断する

AIを積極的に活用することと、何でもAIに任せることは同じではありません。AIに任せない部分を決めることも、高度なAI活用の一つです。

例えば、競合商品より大幅に価格が高い商品のページについて、AIに「価格が高い理由を考えてください」と依頼すれば、素材、品質、技術、保証など、それらしい理由をいくつも作る可能性があります。

しかし、その理由が実際の商品や社内資料で確認できなければ、商品ページへ掲載することはできません。事実ではない価値をAIに補わせるのではなく、商品担当者への確認や追加調査が必要です。裏付けが得られない場合は、無理に訴求を作らないという判断も求められます。

AIへ任せる範囲を判断するときは、次の点を確認します。

  • 間違えた場合に、顧客や事業へどの程度の影響があるか
  • 出力内容を信頼できる資料で確認できるか
  • 後から簡単に修正や取り消しができるか
  • 個人情報や機密情報を扱っていないか
  • 法律、契約、安全性に関係する判断ではないか
  • 企業の信用やブランドイメージに関わる内容ではないか
  • 最終的に誰が責任を持つのか明確になっているか

情報の整理、比較、たたき台の作成はAIに任せられても、事実として公開するか、施策を実行するか、顧客へ伝えるかといった最終判断は人間が行う必要があります。

必要なのは、AIを信用する能力だけでなく、AIを適切に信用しない能力です。AIの得意な部分と危険な部分を理解して線を引くことで、安全性と業務効率を両立しやすくなります。

次は、これらの考え方をWebマーケティングの仕事に当てはめた具体例を紹介します。

WebマーケティングでAIを使いこなす具体例

Webマーケティングは、AIを仕事で活用しやすい分野の一つです。文章作成やキーワード整理だけでなく、アクセスデータの分析、改善仮説の作成、競合比較、大量の商品データ処理などにも利用できます。

ただし、AIに「アクセスが減った原因を教えてください」「このページをSEO改善してください」と質問するだけでは、自社サイトの状況に合った回答は得られません。AIは、伝えていないアクセスデータや社内事情、商品の特徴までは把握していないからです。

GSCやGA4などのデータ、商品情報、競合状況、現場で分かっている事実を組み合わせ、AIに分析を手伝わせることで、一般論ではない改善案を作りやすくなります。

ここでは、SEO分析と大量の商品データ処理を例に、AI・プログラム・人間をどのように組み合わせるのかを紹介します。

GSC・GA4・商品データをつないでSEO課題を探る

SEO改善では、検索順位だけを見て施策を決めないことが重要です。順位が上がってもクリックされなければアクセスは増えず、アクセスが増えても商品ページへの遷移や購入につながらなければ、売上には結びつきません。

そこで、GSC、GA4、商品データなどを、それぞれ異なる役割の情報として確認します。

  • GSCで確認すること 検索クエリ、表示ページ、表示回数、クリック数、CTR、平均掲載順位と、それぞれの推移を確認します。
  • GA4で確認すること 対象ページを閲覧した後の移動、商品閲覧、カート追加、購入手続き、購入などの行動を確認します。
  • 商品データで確認すること 価格、在庫、商品構成、利益、販売実績、商品の特徴などを確認します。
  • 競合調査で確認すること 検索結果に表示されるページの種類、価格帯、掲載情報、比較材料、購入までの導線などを確認します。
  • 現場への確認が必要なこと 商品の品質、価格差の根拠、保証、製造工程、社内ルールなど、公開データだけでは判断できない情報を確認します。

実務でよくある状況を簡略化すると、次のようなケースがあります。

ある商品カテゴリへの検索流入が増えているにもかかわらず、売上が増えていないとします。この段階で「さらにSEOを強化してアクセスを増やそう」と判断するのは早いかもしれません。

  • GSCで検索流入の状況を確認する 検索順位や表示回数が上がり、カテゴリページへのクリックが増えていることを確認します。
  • GA4でページ閲覧後の行動を確認する カテゴリページから商品ページへは移動しているものの、カートへの追加が少ないことを確認します。
  • 商品と競合の情報を確認する 競合商品より価格が高い一方で、価格差を判断するための比較情報が少ないことを確認します。
  • AIに原因候補を整理させる 検索ニーズ、ページ遷移、価格差、掲載情報をもとに、購入に至らない原因の候補を整理します。
  • 人間が施策を絞り込む 流入を増やす施策よりも、比較表や商品説明、価格を判断するための情報を追加する施策を優先します。

この場合、GSCだけを見れば「SEO流入が増えている」という良い結果に見えます。一方、GA4まで確認すると、「検索結果からサイトへ呼び込む部分ではなく、商品を比較して購入を判断する部分に課題がある」という仮説を立てられます。

AIには、複数のデータから考えられる原因や施策候補を整理してもらえます。ただし、AIが示した原因は、確認済みの事実ではありません。

  • 観測できた事実 検索流入は増えているが、カートへの追加は少ない。
  • そこから考えられる仮説 商品の違いや価格差を判断する情報が不足している可能性がある。
  • 追加で確認すること 商品担当者へのヒアリング、競合との違い、ユーザーが必要とする比較材料を確認する。
  • 実行する施策 裏付けが確認できた情報をもとに、比較表や商品説明、ページ内の導線を改善する。
  • 施策後の検証 商品ページへの遷移率、カート追加率、購入数などの変化を確認する。

価格が高い理由をAIに考えさせれば、もっともらしい説明はいくらでも作れます。しかし、素材や製法、品質、保証などに事実として確認できる違いがなければ、その説明を商品ページに掲載することはできません。

AIの役割は、事実を作ることではなく、データと事実から仮説や確認項目を整理することです。人間は、その仮説を検証し、実行する施策と優先順位を決めます。

このように、GSCからGA4、商品データ、競合調査、現場確認、施策実行、効果測定までを一つの流れとして設計することで、AIをSEOの質問相手ではなく、改善業務を支援する存在として活用できます。

大量の商品データをAI・プログラム・人間で処理する

ECサイトでは、数百件から数千件の商品名、説明文、HTML、画像URL、価格などを、CSVでまとめて管理することがあります。

例えば、約3,000件の商品データについて、商品説明のHTML構造を整えながら、複数の販売先では従来の表示形式を維持したい場合、一件ずつ手作業で修正するのは現実的ではありません。

一方で、すべてのデータをAIへ渡し、「適切に修正してください」と指示する方法にも危険があります。商品の仕様を誤って変更したり、必要なHTMLを削除したり、商品ごとに異なる例外を見落としたりする可能性があるからです。

このような大量処理では、最初に作業を次の3種類へ分けます。

  • ルール化できる処理 特定タグの置換、不要な属性の削除、HTML構造の変換、列の追加、URLの変更などは、プログラムで処理します。
  • 意味を判断する処理 説明文の分類、表現の統一、商品ごとの文章調整などは、必要に応じてAIを利用します。
  • 最終確認が必要な処理 価格、仕様、保証、注意事項、ブランド表現、販売先ごとの表示などは、人間が確認します。

実際の処理は、次のような順番で進めます。

  • 元データを保存する 修正前のCSVを残し、問題が起きたときに元へ戻せる状態にします。
  • 変換ルールと例外条件を整理する 何を変更し、何を残すのか、販売先ごとにどのような違いがあるのかを明文化します。
  • 少量のデータでテストする 代表的な商品と例外的な商品を選び、想定どおりに変換されるか確認します。
  • ルール化できる処理をプログラムで実行する 同じ条件なら必ず同じ結果になる処理を、一括で実行します。
  • 曖昧な部分だけAIで処理する 商品ごとの文脈を読まなければ判断できない箇所に限定してAIを利用します。
  • 自動検査と差分確認を行う 必須項目の欠落、HTMLの崩れ、禁止表現、修正前後の違いなどを確認します。
  • 人間が確認してから反映する 重要商品や例外データを確認し、問題がなければ本番環境へ反映します。

複数のECモールや自社サイトへ同じ商品データを連携している場合は、修正後のデータを作るだけでなく、販売先ごとの形式へ戻す処理も必要になることがあります。

そのため、どの文字列を何に変換したのか、どの条件で処理したのかを記録し、逆方向の変換が可能かも確認します。元データ、変換後データ、エラー一覧、変更内容の差分を残しておけば、問題が起きたときにも原因を追いやすくなります。

大量処理で重要なのは、AIにすべてを任せることではなく、AIに判断させる範囲をできるだけ明確にすることです。

AIは文章や意味の判断に優れていますが、同じルールを数千件へ正確に適用する処理では、プログラムの方が安定する場合があります。そこへ人間による最終確認と、元へ戻せる仕組みを加えることで、処理速度と安全性を両立しやすくなります。

このようにAIを既存のデータやツール、プログラムと組み合わせられるようになると、一人でも複数人のチームに近い範囲の仕事を進められるようになります。

AIの使い方は5つの段階に分けられる

AIの使い方は、「使っている」「使っていない」という二つだけではありません。AIに質問する段階から、仕事の流れに組み込み、AIの出力を評価・改善する段階まで、次の5つに分けて考えられます。

これは人の優劣を決めるものではなく、現在のAI活用がどの段階にあり、次に何を身につければよいかを整理するための目安です。

段階 AIの使い方 仕事での活用例
第1段階 AIをほとんど使っていない 検索、文章作成、集計などを、従来どおり人間だけで行う
第2段階 AIに質問する 分からないことを質問する、文章の案を出してもらう、資料を要約してもらう
第3段階 AIに仕事をさせる 資料、記事、コード、分析結果など、具体的な成果物を作成させる
第4段階 AIを使った仕事の仕組みを作る データ収集、分析、改善案作成などを一連の流れとして設計する
第5段階 AIの仕事を評価・改善する仕組みまで作る 出力内容を自動検査し、問題を抽出して、次の処理へ反映する

それぞれの段階には、次のような違いがあります。

  • 第1段階:AIをほとんど使っていない 情報収集、文章作成、データ整理などを、人間が一から行っている状態です。AIを使うこと自体が目的ではありませんが、時間のかかる定型作業の中には、AIによって負担を減らせるものがあります。
  • 第2段階:AIに質問する ChatGPTに分からないことを質問したり、メールや企画の案を出してもらったりする段階です。AI活用の入り口として有効ですが、毎回のやり取りが個別に完結しやすく、仕事全体の流れまでは変わっていません。
  • 第3段階:AIに仕事をさせる 目的、参考資料、条件、出力形式を伝え、記事、報告書、プログラム、データ分析などの具体的な成果物を作成させます。人間は依頼内容を設計し、AIの出力を修正・承認します。
  • 第4段階:AIを使った仕事の仕組みを作る 一つの成果物を作らせるだけでなく、データ収集、分析、仮説作成、施策提案、実行、効果測定までを一連の流れとして設計します。必要に応じて、AIとAPI、データベース、既存ツール、プログラムなどを組み合わせます。
  • 第5段階:AIの仕事を評価・改善する仕組みまで作る AIが作成した内容について、事実との一致、禁止表現、形式、品質などを自動的に確認します。エラーや例外を抽出し、人間による確認結果も次回の指示や処理ルールへ反映します。

第2段階と第3段階の違いは、AIから情報を得るだけか、具体的な成果物の作成まで任せるかです。第3段階と第4段階の違いは、単発の作業で終わるか、繰り返し使える業務の流れとして設計するかにあります。

さらに第5段階では、AIを動かす仕組みだけでなく、出力の品質を維持する仕組みまで用意します。AIの処理件数が増えるほど、一件ずつ人間が確認することは難しくなるためです。

AI活用の段階を上げる場合は、次の順番で進めると分かりやすくなります。

  • 繰り返し発生している作業を一つ選ぶ
  • 作業に必要な入力情報と、完成させたい成果物を整理する
  • AI、プログラム、人間の担当範囲を決める
  • 成果物の合格条件と禁止事項を決める
  • 少量の作業で試し、問題がなければ対象を広げる
  • 発生したエラーや修正内容を記録し、仕組みを改善する

ただし、すべての仕事で第5段階を目指す必要はありません。簡単な文章の案出しであれば、第2段階でも十分です。一方、大量の商品データや定期的なレポート作成など、繰り返し発生する仕事では、第4段階や第5段階まで設計する価値があります。

高度なAI活用とは、常に複雑な仕組みを作ることではなく、仕事の目的やリスクに合った段階を選ぶことです。

また、段階が上がるほど人間が不要になるわけではありません。AIへ任せる範囲が広がるほど、目的の設定、品質基準、例外処理、最終判断といった人間の役割は、むしろ重要になります。

次は、AIによって多くの作業が自動化される時代に、人間の価値がどこに残るのかを考えます。

AI時代に人間の価値はどこに残るのか

AIの進歩には大きな期待がある一方で、私は少し寂しさも感じます。これまで長年の経験や訓練が必要だった文章作成、デザイン、分析、プログラミングなどが、AIによって短時間で形にできるようになってきたからです。

努力して身につけた技術と、AIを使って作られたものが、完成した見た目だけでは区別しにくくなる可能性もあります。これまで「才能」や「専門技術」と呼ばれてきたものの一部が、広く使えるものになる変化は、便利という言葉だけでは片づけられません。

しかし、AIによって人間の才能や専門性がすべて不要になるわけではないと考えています。才能がなくなるのではなく、才能や人間の価値が表れる場所が変わっていくのではないでしょうか。

「作る力」より「選ぶ力」の価値が高まる

AIを使えば、一つの企画に対して、短時間で数十案、数百案を作れるようになります。文章、デザイン、キャッチコピー、改善施策など、一定水準以上の案を大量に出すこと自体は、以前より簡単になっていくでしょう。

その一方で、案が増えるほど、次のような判断が必要になります。

  • そもそも何を作るのか
  • 誰のために作るのか
  • 何を目的とするのか
  • 多数の案からどれを残すのか
  • どの案を修正し、どの案を捨てるのか
  • 事実と異なる表現が含まれていないか
  • 誰かを不必要に傷つける内容になっていないか
  • 自社や自分の考え方に合っているか

例えば、AIがSEOの改善案を100件出したとしても、100件すべてを実行することはできません。事業への影響、根拠、費用、実装の難しさ、検証のしやすさなどを考え、取り組む施策を選ぶ必要があります。

キャッチコピーについても、目を引く表現を作れることと、その表現を実際に広告や商品ページへ掲載してよいかを判断できることは別です。売れそうな表現であっても、事実と異なっていたり、誰かを傷つけたりするのであれば、採用しない判断が必要です。

AIが「作る力」を広く提供するほど、人間には「選ぶ力」と、選んだ結果に責任を持つ力が求められます。

AI時代に強いのは「編集長・監督タイプ」

これまでのWeb制作やマーケティングでは、SEO担当者、ライター、デザイナー、コーダー、データ分析担当者など、それぞれの分野を担当する人が必要でした。

AIによって、一人の人が以前より広い範囲の作業を扱えるようになっています。文章や画像の案を作り、データを分析し、HTMLやプログラムを生成するところまで、AIに手伝わせることができるからです。

すると価値が高まるのは、すべての作業を自分一人で一流にこなす人だけではなく、複数の分野を一定以上理解し、AIや専門ツールを使いながら、仕事全体を設計できる人です。

映画制作に例えるなら、カメラ、照明、演技、音響、編集のすべてを一人で担当する人ではなく、作品全体を見ながら判断する監督に近い役割です。

  • 何を作るのかを決める
  • 誰に何を担当させるのかを決める
  • AI、プログラム、人間の役割を分ける
  • 複数の成果物を一つの目的に合わせる
  • 内容が正しいか、品質を満たしているかを確認する
  • 必要に応じて専門家へ確認する
  • どこまで修正し、どこで完成とするかを決める

Webマーケティングであれば、SEO、アクセス解析、広告、コンテンツ、商品情報、システムなどを個別に見るだけでなく、それぞれを売上や問い合わせという目的につなげる役割です。

ただし、専門家が不要になるわけではありません。AIの出力をレビューし、問題を見つけ、必要な場面で専門家へ相談するためにも、各分野への理解が必要です。

AI時代の「編集長・監督タイプ」とは、すべてを知っている人ではなく、自分で判断できる範囲と、専門家へ確認すべき範囲を見極められる人だといえます。

AIのユーモアや創作にも人間の経験と感覚が表れる

創作の分野でも、AIはネタ作り、構成、作画、演出、編集などを支援できるようになっています。これまで才能や長年の訓練が必要だったことを、普通の人でも短時間で作品として形にできるようになるでしょう。

しかし、誰でも一定水準以上の作品を作れる時代になっても、誰もが長く愛される芸人や作家になれるとは限りません。

AIが大量の物語やキャラクター案を作れたとしても、作品を作り続けるためには、次のような判断が必要です。

  • どのような人物を主人公にするのか
  • その人物のどの特徴を物語の中心にするのか
  • 一つのオチだけに頼らず、どのように展開を広げるのか
  • 脇役にどのような性格や役割を持たせるのか
  • 何を面白いと判断するのか
  • 何を笑いの対象にし、何を傷つけないのか
  • どのような世界観を育て、長く続けていくのか

こうした判断には、作者自身の経験、人柄、価値観、違和感が表れます。AIが出した案に対して、「技術的には上手にできているが、自分の作品とは違う」と判断する感覚も、創作の重要な一部です。

AIによって、世の中には"上手に作られた作品"が大量に増えていくと考えられます。その結果、技術的な上手さだけでは目立ちにくくなり、「なぜこの人がこの作品を作るのか」「この人にしかない視点は何か」という部分の価値が、逆に高まる可能性があります。

AIは人間の才能を広げる一方で、これまで才能と呼ばれてきたものの一部を一般化します。その変化は面白いですが、少し残酷でもあります。

それでも、作れる人が特別だった時代から、何を作るかを選び、独自の世界を育てられる人が特別な時代へ変わっていくのではないでしょうか。

これから身につけたいAI活用スキル

AI時代に必要なスキルを考えるとき、プロンプトのテンプレートを数多く覚えることだけに時間を使う必要はありません。AIやサービスの機能が変われば、最適な指示方法も変化するからです。

それよりも、さまざまなAIやツールへ応用できる、次のような能力を身につけることが重要です。

  • 問題を分解する力 曖昧な課題を整理し、何を解決すべきか、どこから確認すべきかを決めます。
  • 仮説を立てて検証する力 AIの回答を正解と決めつけず、データや事実を確認しながら仮説を修正します。
  • データを読み取る力 数値の増減だけでなく、対象期間、母数、計測条件、比較対象を確認します。
  • AIの出力をレビューする力 事実との矛盾、根拠のない表現、倫理上の問題、専門家への確認が必要な箇所を見つけます。
  • AIに渡す情報を設計する力 目的、資料、過去の経緯、制約、禁止事項などを、必要なタイミングでAIへ渡します。
  • 仕事の流れを設計する力 AI、プログラム、人間を組み合わせ、実行後の評価まで含めた仕組みを作ります。
  • 技術の基礎を理解する力 API、JSON、CSV、データベース、Python、SQLなどが、何をするためのものかを理解します。

PythonやSQLなどを、自分でゼロから書ける必要はありません。実装自体はAIに手伝ってもらえる場面が増えています。

ただし、APIがツール同士をつなぐ仕組みであること、CSVやJSONがどのようにデータを持っているのか、同じ処理を繰り返す場合はAIとプログラムのどちらが適しているのかといった基礎を理解していれば、AIへ適切な指示を出しやすくなります。

AIに代替されにくいスキルを探すときも、「AIには絶対にできない作業」を探すだけでは不十分です。AIの能力は今後も変化する可能性があるからです。

AIを使いながら問題を設定し、成果物を選び、検証し、その結果に責任を持つ能力を身につけることが、変化へ対応しやすいAI活用スキルになるでしょう。

AIの仕事活用についてよくある質問(FAQ)

AIを仕事で使いこなすには、何から始めればよいですか?

まずは、日常業務の中から、繰り返し発生している比較的リスクの低い作業を一つ選びます。最初から会社全体の業務を自動化しようとする必要はありません。

  • 時間がかかっている作業を一つ選ぶ
  • 作業の目的と完成条件を決める
  • AIに渡す資料やデータを整理する
  • 少量の作業で試す
  • 人間が結果を確認する
  • 問題点を修正してから対象を広げる

メールの下書き、資料の要約、データの分類、文章のたたき台作成などから始めると、AIの得意なことと苦手なことを把握しやすくなります。

AIツールを導入することではなく、どの仕事の、どの部分を改善したいのかを決めることが最初の一歩です。

プロンプトを学べばAIを使いこなせるようになりますか?

目的、前提条件、参考資料、出力形式などを具体的に伝えるプロンプトの書き方は重要です。ただし、プロンプトだけを学べば、AIを仕事で使いこなせるわけではありません。

実務では、AIへ指示を出す前に問題を整理し、回答を受け取った後に事実確認や効果測定を行う必要があります。プロンプトは、その一連の流れの一部分です。

プロンプトのテンプレートを数多く覚えることよりも、問題分解、情報設計、出力の検証、仕事全体の流れを設計する力を身につける方が、さまざまなAIへ応用しやすくなります。

AIを使いこなすためにプログラミングの知識は必要ですか?

文章作成、要約、企画、情報整理などにAIを利用するだけであれば、プログラミングの知識がなくても始められます。

一方、大量のデータ処理や定期的な業務の自動化、複数ツールの連携まで行う場合は、API、JSON、CSV、データベース、Python、SQLなどの基礎を理解していると、できることが広がります。

自分でゼロからプログラムを書ける必要はありません。AIにコードの作成を手伝ってもらうこともできます。ただし、何を処理しているコードなのか、どの部分にリスクがあるのかを理解し、動作を確認する必要があります。

重要なのは、プログラムを書けることだけではなく、その処理はAI、プログラム、人間のどれに任せるべきかを判断できることです。

ChatGPTなどのAIが出した回答は、そのまま仕事に使えますか?

文章のたたき台やアイデアとして利用することはできますが、確認せずにそのまま公開・提出することはおすすめできません。

AIは、事実と異なる情報、存在しない出典、根拠のない商品特長などを、自然な文章で出力することがあります。数字、固有名詞、制度、価格、商品仕様などは、元データや公式情報と照らし合わせて確認します。

また、内容が事実として正しくても、自社の方針や顧客の状況に合っているとは限りません。AIの回答は完成品ではなく、人間が確認・修正することを前提とした案として扱うのが基本です。

法律、契約、会計、安全性などに関わる内容については、必要に応じて専門家へ確認してください。

会社の機密情報や顧客データをAIに入力してもよいですか?

会社の規定、契約内容、利用しているAIサービスの設定や管理方法を確認せずに、機密情報や顧客データを入力するべきではありません。

AIを業務で利用するときは、個人名、連絡先、取引内容、未公開情報などを削除し、分析に必要な情報だけへ限定する方法があります。会社が利用を認めている環境がある場合は、そのルールに従います。

情報を入力してよいか判断できない場合は、担当者や管理者へ確認し、確認できるまでは入力しない方が安全です。

AIへ渡す情報を増やすことと、入力してよい情報を見極めることは、セットで考える必要があります。

AIとプログラム、人間はどのように使い分ければよいですか?

判断条件が明確で、同じ入力から同じ結果を出したい処理は、プログラムに向いています。計算、文字列置換、データ変換、重複確認などが該当します。

文章の要約、分類、表現の調整、アイデア出しなど、一定の曖昧さを含む処理はAIに向いています。

目的や優先順位の決定、事実確認、例外対応、公開や実行の承認は、人間が担当します。

  • 確定処理 プログラム
  • 曖昧な判断 AI
  • 最終判断と責任 人間

すべてをAIに任せるのではなく、それぞれの得意分野を組み合わせることで、正確性と作業効率を両立しやすくなります。

AIの普及によって人間の仕事はなくなりますか?

将来どの仕事がどの程度変化するかを、正確に予測することはできません。ただし、文章作成、画像制作、データ整理など、仕事の中に含まれる一部の作業は、AIによって効率化・自動化されていくと考えられます。

一方で、仕事は一つの作業だけで成り立っているわけではありません。何を目的とするのか、どの案を採用するのか、事実として正しいか、誰に確認するのか、実行した結果に誰が責任を持つのかといった判断が必要です。

AIによって人間の役割がなくなるというより、自分で作業する役割から、AIを使って仕事を設計し、選び、検証する役割へ変化する可能性があります。

特定の作業だけに依存するのではなく、専門知識をAIの出力確認や問題解決に活用できるようにしておくことが重要です。

まとめ:AIを使いこなすとは、AIを含めて仕事を設計すること

ChatGPTをはじめとする生成AIは、文章作成、情報収集、分析、画像制作、プログラミングなど、さまざまな仕事を支援できるようになっています。

しかし、AIに質問して回答を得たり、成果物を作らせたりするだけでは、AIを十分に使いこなしているとはいえません。AIを仕事の成果につなげるには、次のような取り組みが必要です。

  • 解くべき問題を決める 施策を考える前に、何を改善したいのか、どこに問題があるのかを整理します。
  • 調査のプロセスを設計する 一度の回答で結論を出さず、仮説、データ確認、再分析を繰り返します。
  • AIの回答を検証する 事実、推測、提案を分け、元データや公式情報と照らし合わせます。
  • AIに渡す情報を設計する 目的、資料、経緯、制約、禁止事項などを、判断しやすい形で伝えます。
  • AI・プログラム・人間を分業させる 確定処理はプログラム、曖昧な判断はAI、最終判断は人間が担当します。
  • AIの仕事を評価する 成果物の合格条件を決め、自動検査と人間による確認を組み合わせます。
  • AIに任せない部分を決める 事実確認、社内調整、公開、契約、経営判断など、人間が責任を持つ範囲を明確にします。

AI活用の目的は、AIをできるだけ多く使うことではなく、仕事をより正確に、効率よく、成果につながる形で進めることです。

簡単な文章の案出しなら、AIに質問するだけでも十分です。一方、SEO改善、アクセス解析、大量の商品データ処理などでは、データ収集から分析、実行、効果測定までを一つの流れとして設計する必要があります。

最初から複雑な自動化を目指す必要はありません。まずは、日常業務の中から繰り返し発生している作業を一つ選び、AIに任せる部分、人間が確認する部分、成果を判断する基準を決めるところから始めるとよいでしょう。

AIによって「作る力」が広く使えるようになるほど、人間には、何を作るのか、どれを選ぶのか、何を採用しないのかを判断する力が求められます。専門知識も、自分で作業をするためだけでなく、AIの出力を確認し、必要な修正を判断するために重要になります。

これから価値が高まるのは、AIより速く作業する人だけではありません。AI、データ、ツール、専門家を組み合わせ、仕事全体を設計・評価できる「編集長・監督タイプ」の人です。

AIを使いこなすとは、AIに何でも任せることではありません。AIの得意なことと危険なことを理解し、人間が目的と責任を持ったうえで、AIを含めて仕事の仕組みを設計することです。

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